オブラートの主原料であるでん粉の種類と特性②

《でん粉の糊化》

でん粉の特徴の1つとして、糊化現象があります。

でん粉そのものは水に溶けずに消化しにくいのですが、これに水を入れて加熱すると、でん粉が糊状になり、吸収しやすい状態に変化します。

その状態の変化とは、

1.でん粉の粒はある温度まで加熱すると、水分を吸収して膨らみ始めます(膨潤)。

2.そのまま加熱を続けると、でん粉の粒はさらに膨潤を続け、吸水し続けることにより体積は数倍に膨らんでいきます。

3.でん粉の粒の膨潤が限界に達すると、粒の崩壊が始まり、でん粉の粒が破壊されて粘度が低下します。分かりやすく言うと、膨らませた風船が破裂するのと同じような現象です。

このようにでん粉は加熱することによって、吸水→膨潤→崩壊→分散 の過程を辿ります。

この一連の動きをでん粉の糊化現象、でん粉のアルファと言います。

このようなでん粉の糊化現象を利用してオブラートは作られています。

オブラートは、でん粉に100℃程度の熱湯を加えて(吸収)攪拌し(膨潤)、糊状の粘液を一定の厚みを保ちながら乾燥させて作ります。

つまり、オブラートはアルファ化(糊状)したでん粉を乾燥させて作るので、「アルファでん粉」ということもできます。

薬やお菓子を包むオブラートは、「シート状アルファでん粉」、オブラートを粉状にしてゼリーやグミ、飴などにまぶして使う粉末オブラートは、「粉状アルファでん粉」になります。

《でん粉の老化》

アルファ化したでん粉をそのまま放置して糊が冷えてくると、糊内部の水分が滲出(水分の遊離)して糊が次第に白濁し、水に不溶の状態となって消化しにくい状態に戻ります。これをでん粉の「老化」と言います。これは、でん粉を原料に含むパンなどの食品が、時間が経つと硬くなる主要な原因とも言えます。また、でん粉の「老化」はでん粉中に水分が残っていないと起こりません。でん粉糊の含水率が10~15%程度の乾燥した状態では老化は起きないのです。

ちなみに、砂糖はでん粉の老化を遅らせる効果があり、例えば羊羹にはたくさんの砂糖が入っていますが、そのおかげで時間が経ってもパサつくことなくしっとりとした食感を保てるのです。

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