誤嚥の防止には料理のとろみ付けが効果的

■高齢化によって生じる摂食に関連する課題
高齢化して来ると、歯が弱り、差し歯や入れ歯が増えて噛み切る力が衰えてきます。
こうした衰えに対応するために、老人ホーム等では通常の食事ではなく、それぞれの高齢者に適した軟らかい食事にしたり、
食材を細かく砕いたりして、摂取しやすい調理法を採用しています。こうする事で、バランスの良い食事を摂取しやすくしているのです。
また高齢者には、歯が弱り、噛み切りにくくなるのと合わせて、飲み込む力である嚥下に障害が生じる事が少なくないのです。
嚥下が上手く行えないと、誤嚥を起こし、最悪の場合には誤嚥性肺炎を引き起こす危険があり、この対策も講じる事が求められます。
細かく砕いた食材をスプーンですくって口に運ぶと、噛む事の必要性はないものの、今度は嚥下しにくいと言う課題が生じるのです。
薬の錠剤を上手に水で飲み込む事が困難なのと同様に、細かい食材は飲み込みにくいと言う弊害があるのです。

■細かくした食材をとろみである程度のサイズにまとめる事で嚥下が容易に
飲み下しは、水などのさらさらとした液体も難しく、水やお茶を飲んでいて、高齢者が良く咳き込んだりするのは、
気道と食道を切り替える弁を瞬時に切り替える反応が出来にくくなっているからです。
最も飲み下しやすいのは、そこそこのサイズに食材がまとまり、かつ水の様にさらさらしたものではなく、とろみがあるものが良いのです。
とろみが付くと、口腔咽頭内でまとまりがよく、ゆっくり流れてくれるので、誤嚥のリスクが低減する事になるのです。
この細かく砕いた食材を調理し、最後にその高齢者の嚥下の困難度合いに合わせて、薄いとろみ、中間のとろみ、最も嚥下が困難な人には
濃いとろみ付けをして提供するのがベストです。
料理にとろみ付けするものとしては、片栗粉を思い起こしますが、片栗粉でとろみを付けるのが向かない食事も多く、
オブラートやとろみ剤なども最近注目を集めています。

とろみ剤はメーカーによって同じ程度のとろみを付けるのに必要な量が異なるので注意が必要です。
施設に入所している場合には、看護師さんや栄養士さんがその人に最適なとろみ付けをしてくれます。
しかし退所して家庭で介護を行ったりする場合には、看護師さんや栄養士さんが最適だとされて来たとろみ剤の種類と使用する量を
家族の方が教わって、高齢者への料理のとろみ付けを行う事が重要です。
さらに先に記載した様に、さらっとした水のような液体が嚥下しにくい場合にも、少しとろみを付けて軟らかいゼリー状などにして水分を摂れる
ようにすると良いでしょう。

■まとめ
高齢化して噛み切る力が弱くなると、食材を細かく切って利用し、食べやすくする事が必要です。
しかし食材は細かくなると一方で、嚥下しにくくなると言う新たな課題が生じます。
そんな時には、その人に適した状態にとろみを付け、嚥下し易くする事で、誤嚥を防ぐ事が大切となります。

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