オブラートの歴史
皆さんはオブラートという言葉を聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
「オブラートに包んだ言い方をする」なんて言葉もあると思います。
この場合は、相手のことをズバリと指摘するのではなく婉曲的に言うという意味になりますよね。
オブラートというのは、ドイツ(oblate)、オランダ(oblaat)から来た言葉で、その元の意味は宗教行事の際に使用される、無発酵の薄焼きパン(聖餅)でした。
人々は薬を服用する際に、その薄焼きパンを水に浸し柔らかくした上で薬を包み込ことに利用していました。
その当時のオブラートは、現在私たちが見るような薄く柔らかいものではなく、「硬質オブラート」と呼ばれる、固いおせんべいのようなものだったようです。
この硬質オブラートが日本へ伝わったのは明治時代のことでした。その後、20世紀初頭、日本では三重県に住むある医師が寒天とデンプンから柔軟オブラートを
作る方法を見出しました。
では、現在私たちが知っているオブラートとは、一体どのようなものなのでしょうか。そして何に使われているのでしょうか。
現在のオブラートとその使われ方
現在のオブラートは馬鈴薯や甘藷といった芋のデンプンを糊化させたものを急速乾燥させたフィルム状のものです。
その性質には面白い特徴があります。それは「水には溶けやすいけれど油には溶けにくい」というものです。
その性質を利用して粉薬を包んだり、チョコレートや飴状のお菓子を包むことが出来るのです。
オブラート菓子の代表とも言える昔懐かしのお菓子といえば「キャラメル」を思い浮かべる人も多いでしょう。
このキャラメルですが、成分が「水飴・砂糖」がメインとなっています。
これだけで食べるとしたらおそらく手はべたべたになりますが、これをオブラートに包むことによって、飴同士のひっつきを防ぎ、
手を汚さずに食べることが出来るという優れたアイデアで作られています。
このように、オブラートを使うことによって、小さなお菓子でも個包装をせずともお菓子同士のくっつきも防ぐことが出来、
又オブラートが包装紙の役割も果たすので環境にもとても優しいものです。
そして苦い薬を飲む時や、飲む力が弱くなっている時でもオブラートは大活躍してくれるのです。
以前は粉薬やカプセルをオブラートフィルムに包んで飲むという方法が主流でしたが、どうしても喉の途中で引っかかってしまう、
口の中に貼りついてしまうということがありました。
現在では、オブラートをゼリー状にして薬と一緒に飲む方法もあります。
これで小さなお子さんや嚥下の困難なお年寄りでもストレス無く薬を飲むことが出来るようになっています。
これもオブラートのお陰です。(どの薬でもオブラートで飲んで良いわけではありませんので、服用時には注意が必要です)
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